Cursor 研修カリキュラム — エンジニア向け半日プログラムの設計と運用ルール

公開: 2026-05-20 ・ 著者: AI Agent Camp所要読了時間: 約 10 分

Cursor を社内で標準化したいチーム向けに、半日 (4 時間) 研修の構成と実運用ルールを 1 記事にまとめます。Composer / Agent Mode / Cursor Rules / MCP の使い分けを、Claude Code・Codex との役割分担込みで扱います。

本記事の対象

自社で Cursor を導入する / 既に使っているがチーム単位の運用を整え たいエンジニアリングマネージャーと、社内研修を回す立場の方が対象 です。VS Code はベースとして触ったことがある前提で、Cursor 固有の 挙動を半日でチーム標準化することを目指します。

1. 半日カリキュラムの構成

13:0013:20
オリエン: なぜ Cursor / Codex / Claude Code を併用するか
13:2013:50
Tab + Inline Edit — エディタ補完の癖と止めどき
13:5014:30
Composer — 範囲指定編集と Multi-file Apply
14:3015:00
Agent Mode — 自走させるときの境界線
15:0015:40
Cursor Rules + MCP — チーム共通ルールの書き方
15:4016:40
ハンズオン: 自分のリポで 1 タスクを完走
16:4017:00
レビュー体制と機微情報の扱い
半日 (4 時間) カリキュラムの例

1 セッションあたり 4〜8 名が動きやすい人数です。社内研修としては、 午前に「コード以外の AI 活用」、午後にこの Cursor 半日を入れる 二段構成にすると、非エンジニア職と混合チームでも噛み合います。

2. Tab / Inline Edit の癖

Tab 補完は「文脈に同調しすぎる」性質があります。1 行で済む変数名 補完には強い一方、長めの diff を提案してきたときは Inline Edit (⌘K) に切り替えて範囲を指示するほうが速い。 受講者には次の判断軸を渡します。

3. Composer — 多ファイル編集の主力

Composer (⌘I) は「指示 → diff プレビュー → Apply」の 一往復で多ファイルを編集できるモードです。研修では次の 3 パターン をハンズオンで踏みます。

  1. 機能名で @Folder 指定して関連ファイルだけスコープ
  2. @File で起点ファイル + @Code でシンボル単位の参照
  3. Apply 前に diff を読み、修正したいときは「上の diff の N 番目だけ {...} に書き換えて」と再指示

Apply 後は git add -p を必ず通すルールを敷くと、AI に書かれた覚えのない変更を残したまま commit する事故が消えます。

4. Agent Mode — 自走させる境界

Agent Mode はファイル探索・ターミナル実行・自動修正までモデルが ループします。便利だが境界の設計を間違えると本番リポを荒らせる ため、研修では次の 4 つを必ず教えます。

5. Cursor Rules — チーム共通の書き方

研修の中心は「ルールを 1 枚書き上げて Apply まで体験する」工程です。 下記をひな型として配布し、各社の規約に置き換えていきます。

# .cursor/rules/team.mdc
---
description: チーム共通ルール (TypeScript / Next.js / pnpm)
globs: ["**/*.ts", "**/*.tsx"]
alwaysApply: true
---

# コーディング規約
- pnpm を使う。npm / yarn コマンドは提案しない
- 新規ファイルは Server Component を既定にする。"use client" は必要時のみ
- as any 禁止。型が複雑なら unknown + narrowing
- console.log は提案しない。logger を使う

# 禁止
- src/server/ の Server-only API を src/app/ から直接 import しない
- 環境変数の値をログ出力しない (process.env.* を直接 console に渡さない)

6. MCP の追加

// ~/.cursor/mcp.json (グローバル) または .cursor/mcp.json (リポ単位)
{
  "mcpServers": {
    "linear": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@linear/mcp"],
      "env": { "LINEAR_API_KEY": "lin_api_xxx" }
    },
    "postgres": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-postgres", "postgres://..."]
    }
  }
}

研修ハンズオンでは Linear MCP を入れて「@Linear で自分のチケットを 引いてきて、関連ファイルに Composer で実装をあてる」流れを 1 周 回します。API キーを env に直書きするのは演習用のみで、 実運用では 1password run や OS のキーストア経由で渡す ことを徹底します。

7. レビュー体制と機微情報

  1. PR は AI 生成かどうかを区別しない。レビュー基準は同じ。ただし生成元 (Cursor / Claude Code / Codex) は PR 本文に書く
  2. テストが書かれていない PR は AI でも人でも同じくマージしない
  3. Cursor の Privacy Mode を有効にする。エンタープライズ契約の場合はリポジトリ単位で確認
  4. Privileged データ (社員情報 / 顧客 PII) は .cursorignore + Privacy Mode + 入力モデレーションの 3 層で守る
  5. 退職者の発生時に Cursor のチームから即外す (キャッシュ越しに過去のコードに触れる可能性が残る)

8. Codex / Claude Code との役割分担

Cursor
エディタに居続けて 1 ファイル / 範囲が見えている編集に集中。レビュー前の最終形にする工程
Claude Code
ターミナルで複数チャットを並列。長時間タスクと探索的な調査・大規模リファクタ・PR テンプレートを使った定型作業
Codex
セカンドレビュー / 別実装でクロスチェック。Cursor で書いたものを Codex に審査させる「2 段レビュー」

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よくある質問

Cursor だけで研修した方がいい? Claude Code と併用すべき?
短期的に Cursor だけでも完結します。ただし、エディタ起点ではなくチャット起点で並列に進めるワークフロー (Claude Code / Codex) を併用すると 1 日あたりの完了量が 2〜3 倍変わります。研修はまず Cursor 単体で動かし、午後に Claude Code を重ねる構成が定着しやすいです。
Composer と Agent Mode はどう使い分ける?
範囲が見えていて差分プレビューを 1 回見れば十分なときは Composer、複数ファイルにまたがり試行錯誤を AI に任せたいときは Agent Mode。Agent Mode は途中で勝手にコマンド実行や git commit までやる前提で、危ない権限はワークスペース設定で外しておきます。
.cursor/rules/*.mdc はいくつ作るのが普通?
リポ単位で 3〜5 個に収まることが多いです。team.mdc (全体規約) / domain-xxx.mdc (機能別) / no-go.mdc (絶対禁止) の構成が読みやすい。alwaysApply: true は team.mdc だけにし、それ以外は globs か description ベースで自動選択させます。
MCP は研修で扱うべき?
扱います。Linear / Postgres / Slack を MCP に通すと、エンジニアでなくても自分の業務データをエージェントに渡せる体験が増えます。導入時は env のキー漏れを 100% 防ぐためにキーストアか 1Password CLI 経由で渡す方法を必ず教えます。
受講者の Cursor が遅い / Apply が中断するんですが
プロジェクトサイズが大きく Indexing で詰まっているケースが多いです。Settings → Features → Codebase Indexing で除外 globs (node_modules, dist, .next, public/images) を追加し、ワークスペースを 1 アプリ単位に閉じます。それでも遅いときは Claude Code に切り替えるのが早い。
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