Cursor 研修カリキュラム — エンジニア向け半日プログラムの設計と運用ルール
公開: 2026-05-20 ・ 著者: AI Agent Camp ・ 所要読了時間: 約 10 分
Cursor を社内で標準化したいチーム向けに、半日 (4 時間) 研修の構成と実運用ルールを 1 記事にまとめます。Composer / Agent Mode / Cursor Rules / MCP の使い分けを、Claude Code・Codex との役割分担込みで扱います。
本記事の対象
自社で Cursor を導入する / 既に使っているがチーム単位の運用を整え たいエンジニアリングマネージャーと、社内研修を回す立場の方が対象 です。VS Code はベースとして触ったことがある前提で、Cursor 固有の 挙動を半日でチーム標準化することを目指します。
1. 半日カリキュラムの構成
1 セッションあたり 4〜8 名が動きやすい人数です。社内研修としては、 午前に「コード以外の AI 活用」、午後にこの Cursor 半日を入れる 二段構成にすると、非エンジニア職と混合チームでも噛み合います。
2. Tab / Inline Edit の癖
Tab 補完は「文脈に同調しすぎる」性質があります。1 行で済む変数名 補完には強い一方、長めの diff を提案してきたときは Inline Edit (⌘K) に切り替えて範囲を指示するほうが速い。 受講者には次の判断軸を渡します。
- 「補完が 5 行以上のときは一旦止めて
⌘Kで書き直す」 - 「import の追記補完は通す。ロジックの追記補完は読んでから通す」
- 「テストファイル上では補完を多めに信頼する。プロダクションコード上では厳しめに」
3. Composer — 多ファイル編集の主力
Composer (⌘I) は「指示 → diff プレビュー → Apply」の 一往復で多ファイルを編集できるモードです。研修では次の 3 パターン をハンズオンで踏みます。
- 機能名で
@Folder指定して関連ファイルだけスコープ @Fileで起点ファイル +@Codeでシンボル単位の参照- Apply 前に diff を読み、修正したいときは「上の diff の N 番目だけ {...} に書き換えて」と再指示
Apply 後は git add -p を必ず通すルールを敷くと、AI に書かれた覚えのない変更を残したまま commit する事故が消えます。
4. Agent Mode — 自走させる境界
Agent Mode はファイル探索・ターミナル実行・自動修正までモデルが ループします。便利だが境界の設計を間違えると本番リポを荒らせる ため、研修では次の 4 つを必ず教えます。
- auto-run コマンドはホワイトリスト方式。
rm,git push,migrateは外す - 新規ブランチ前提: Agent Mode 起動前に必ず
git checkout -b agent/xxx - 長時間タスクは 1 回 30 分上限。途中で必ず Apply / Reject の判断を挟む
- 本番 .env は読ませない。
.cursorignoreで.env*,secrets/を除外
5. Cursor Rules — チーム共通の書き方
研修の中心は「ルールを 1 枚書き上げて Apply まで体験する」工程です。 下記をひな型として配布し、各社の規約に置き換えていきます。
# .cursor/rules/team.mdc
---
description: チーム共通ルール (TypeScript / Next.js / pnpm)
globs: ["**/*.ts", "**/*.tsx"]
alwaysApply: true
---
# コーディング規約
- pnpm を使う。npm / yarn コマンドは提案しない
- 新規ファイルは Server Component を既定にする。"use client" は必要時のみ
- as any 禁止。型が複雑なら unknown + narrowing
- console.log は提案しない。logger を使う
# 禁止
- src/server/ の Server-only API を src/app/ から直接 import しない
- 環境変数の値をログ出力しない (process.env.* を直接 console に渡さない)alwaysApply: trueは team.mdc 1 枚だけにする (全部 always だと取り合いが起きる)- 禁止事項は 原因と一緒に 書く (「なぜダメか」を書かないとモデルが守らない)
- 巨大なルールより 3〜5 個に分割。globs で自動選択させる
6. MCP の追加
// ~/.cursor/mcp.json (グローバル) または .cursor/mcp.json (リポ単位)
{
"mcpServers": {
"linear": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@linear/mcp"],
"env": { "LINEAR_API_KEY": "lin_api_xxx" }
},
"postgres": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-postgres", "postgres://..."]
}
}
}研修ハンズオンでは Linear MCP を入れて「@Linear で自分のチケットを 引いてきて、関連ファイルに Composer で実装をあてる」流れを 1 周 回します。API キーを env に直書きするのは演習用のみで、 実運用では 1password run や OS のキーストア経由で渡す ことを徹底します。
7. レビュー体制と機微情報
- PR は AI 生成かどうかを区別しない。レビュー基準は同じ。ただし生成元 (Cursor / Claude Code / Codex) は PR 本文に書く
- テストが書かれていない PR は AI でも人でも同じくマージしない
- Cursor の Privacy Mode を有効にする。エンタープライズ契約の場合はリポジトリ単位で確認
- Privileged データ (社員情報 / 顧客 PII) は
.cursorignore+ Privacy Mode + 入力モデレーションの 3 層で守る - 退職者の発生時に Cursor のチームから即外す (キャッシュ越しに過去のコードに触れる可能性が残る)
8. Codex / Claude Code との役割分担
- Cursor
- エディタに居続けて 1 ファイル / 範囲が見えている編集に集中。レビュー前の最終形にする工程
- Claude Code
- ターミナルで複数チャットを並列。長時間タスクと探索的な調査・大規模リファクタ・PR テンプレートを使った定型作業
- Codex
- セカンドレビュー / 別実装でクロスチェック。Cursor で書いたものを Codex に審査させる「2 段レビュー」
法人研修ホワイトペーパーを無料ダウンロード
Day 1 進行・助成金活用・カリキュラム設計をまとめた法人向け資料 (PDF) を無料でお送りします。下記フォームにご記入ください。担当より導入のご相談も承ります。
フォームが表示されない場合は、お手数ですが kohei@aibrainpartners.jp までご連絡ください。
Cursor 研修を社内で実施したい方へ
本カリキュラムをベースに、貴社のコード規約と業務に合わせた半日 / 1 日プログラムを設計します。
AI Agent Camp について見るよくある質問
- Cursor だけで研修した方がいい? Claude Code と併用すべき?
- 短期的に Cursor だけでも完結します。ただし、エディタ起点ではなくチャット起点で並列に進めるワークフロー (Claude Code / Codex) を併用すると 1 日あたりの完了量が 2〜3 倍変わります。研修はまず Cursor 単体で動かし、午後に Claude Code を重ねる構成が定着しやすいです。
- Composer と Agent Mode はどう使い分ける?
- 範囲が見えていて差分プレビューを 1 回見れば十分なときは Composer、複数ファイルにまたがり試行錯誤を AI に任せたいときは Agent Mode。Agent Mode は途中で勝手にコマンド実行や git commit までやる前提で、危ない権限はワークスペース設定で外しておきます。
- .cursor/rules/*.mdc はいくつ作るのが普通?
- リポ単位で 3〜5 個に収まることが多いです。team.mdc (全体規約) / domain-xxx.mdc (機能別) / no-go.mdc (絶対禁止) の構成が読みやすい。alwaysApply: true は team.mdc だけにし、それ以外は globs か description ベースで自動選択させます。
- MCP は研修で扱うべき?
- 扱います。Linear / Postgres / Slack を MCP に通すと、エンジニアでなくても自分の業務データをエージェントに渡せる体験が増えます。導入時は env のキー漏れを 100% 防ぐためにキーストアか 1Password CLI 経由で渡す方法を必ず教えます。
- 受講者の Cursor が遅い / Apply が中断するんですが
- プロジェクトサイズが大きく Indexing で詰まっているケースが多いです。Settings → Features → Codebase Indexing で除外 globs (node_modules, dist, .next, public/images) を追加し、ワークスペースを 1 アプリ単位に閉じます。それでも遅いときは Claude Code に切り替えるのが早い。